大人の踵の骨は、継ぎ目のない、一枚岩の構造ですが、これから成長する子どもの骨には、骨端線、あるいは骨端軟骨と呼ばれる、伸び代(ルビ:のびしろ)になる部分があります。
軟骨は、文字通り「柔らかい骨」ですので、力学的に弱点となります。
この踵の後方にはアキレス腱が、下方には足底腱膜が付着しています。
この弱点に、健からの牽引力、着地の際などの衝撃が繰り返して加わり、疼痛を起こすのが、「踵骨骨端症」、あるいは「シーバー病」と呼ばれるものです。
痛みがあれば、踵にかかる負担を軽くするように、運動を控えめにして、経過を見るようにします。
まったく運動を中止することはなく、たとえばランニングや、ジャンプを要する動作を控えて、上半身の運動や、筋力トレーニングを主体にする日を設けるなど、トレーニングメニューを調整してください。
予防のためには、健からの牽引力が弱まるように、日々、アキレス腱に続く下腿三頭筋のストレッチングをしたり、足趾を積極的に動かすよう、足の下に敷いたタオルを、足の指でたぐり寄せるような運動をしてください。
また、クッション性の高い靴に替えたり、踵の部分にショックを吸収するパットを装着するなどの工夫をしてください。 骨の成長が終わり、骨端線が閉鎖する時期になれば、自然と疼痛は軽快し、特に後遺症を残すこともありません。
ある意味、今の子どもに足りない「我慢」ということを覚えたり、トレーニングメニューを自分の頭で考えたりする、いい機会かもしれません。