ケガをしたスポーツ選手、スポーツ障害を持つスポーツ選手を診る場合、その状態から、
いかに治癒に向かわせるかはもちろん、いかにしてその後の後遺症を最低限に抑えるか、
再発をいかに予防するかを、我々は考えなければいけません。

その際に、ただ「休みなさい」とか、「止めなさい」と言ってしまえば、話は簡単です。
スポーツを止めてしまえば、その後に障害が進行することはありません。
また「やってはいけません」と制止しておくことは、医師の責任回避にもつながります。
医師の制止があったにもかかわらず、選手が練習を続けて症状が悪化した場合には、それは選手の責任になってしまうからです。 しかし、選手は決してそれを望んではいません。
それだけでは、選手はますます医療現場から離れていってしまうでしょう。

選手が求めているのは、どうしたらスポーツを続けられるか、いかにしてスポーツを続けながら治していけるということです。

さまざまなスポーツの競技特性を理解し、また選手本人の動きの癖や心理面なども理解した上で、
たとえば「この技なら、ケガをした部分に負担がかからないから、この技を使うように」とか、
「この練習はまだダメだけど、この練習ならやっていいよ」などと言ってあげることが、スポーツドクターと呼ばれるわれわれの役目だと思っています。
ケガに悩むアスリートのみなさま、一番いい方法を、一緒に考えていきましょう。